2024年7月26日
「歩く速さが遅くなった。」「訳もなく疲れやすい。」「半年で体重が2~3kgほど減った。」このように自覚される方は「フレイル」という状態かもしれません。「フレイル」は生活機能の低下や、要介護状態、死亡などの転帰に陥りやすい状態とされています。一方で、不可逆的なものではなく、適切な介入により改善可能なものとされています。今回は「フレイル」とは何か、その予防策、介入方法についてお伝えしたいと思います。
フレイルとは
「年齢を重ねるとともに衰え、外的なストレスへの抵抗性が低下し様々な病気になりやすい状態」です。要介護状態の前段階と捉えられています。また、身体的な面だけでなく、気分障害や認知機能低下などの「精神・心理的要因」、孤独、閉じこもりなどの「社会的要因」など、他要因を含む概念とされています。
フレイルを呈する高齢者の割合は全体で11.2%とされ、年代別では65~74歳で4.0%、75~84歳で16.2%、85歳以上では34.0%となっています。
診断方法
日本語版CHS基準(J-CHS基準)
3つ以上該当する場合は「フレイル」、1~2個に該当する場合は「プレフレイル」と分類します。
予防・介入方法
予防ならびに介入方法には「栄養療法」と「運動療法」があります。
「栄養療法」
・十分なカロリー摂取
→体重あたり25~35kcal/日とする式がよく用いられます。
・タンパク質の適切な摂取
→体重あたり1.0~1.2g/日のタンパク摂取が推奨されています。高齢で慢性腎臓病がある方に関しては0.8g/標準体重kg/日が目安とされています。
「運動療法」
タンパク質合成を直接促進させるレジスタンス運動や持続的な歩行運動を中心とした有酸素運動を組み合わせて実施することが望ましいとされています。
その他としては感染予防、社会との繋がりを継続するといった社会参加の促進や口腔機能の維持が重要となります。
【参考引用】引用文献:指導士資格認定試験準拠 心臓リハビリテーション必携
日本心臓リハビリテーション学会 編
2021年改訂版 心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン